感染症「サル痘」に注意喚起、厚生労働省

天然痘に似た症状の感染症「サル痘」の患者の報告が欧米を中心に相次いで報告されています。5月21日時点で12ヵ国92人の患者が報告されました。

アフリカの外で90人にも広がるのは初めて

今回、アフリカ以外で多くの感染者が発見されたことで、警戒が強まっています。そもそも、「サル痘」とはどのような病気なのでしょうか。厚生労働省の発表によると、

これまでの経緯

サル痘はオルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる感染症で、1970年にヒトでの感染が発見されて以来、中央アフリカから西アフリカにかけて流行しています。日本では感染症法上の4類感染症に指定されています。

症状としては、
・ ウイルスに曝露後、通常6-13 日(最大5-21 日)の潜伏期間の後に発症。
・ 発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状が0-5日程度持続し、発熱1-3日後に発疹が出現。
・ 皮疹は顔面や四肢に多く出現し、徐々に隆起して水疱、膿疱、痂皮となる。
・ 欧州疾病対策・予防センター(ECDC)の報告では、現在欧州等で発生が見られるサル痘症例について、男性間で性交渉を行う者(MSM: Men who have Sexwith Men)の間で報告されている症例では、外陰部に病変が集中していることを指摘している。
・ 多くの場合2-4週間持続し自然軽快するものの、小児例や、あるいは曝露の程度、患者の健康状態、合併症などにより重症化することがある。
・ 皮膚の二次感染、気管支肺炎、敗血症、脳炎、角膜炎などの合併症を起こすことがある。
・ 致命率は 1-11%程度とされている。

同じく発疹を症状とする疾患が鑑別となり、水痘、麻疹、細菌感染、感染、梅毒、薬物アレルギーなどが代表的で、既に根絶されている天然痘とは症状での区別は困難であるとのことです。

サル痘による皮疹(UK Health Security Agency(UKHSA), 14 May 2022)


感染経路は、
・ 主にアフリカに生息するリスなどのげっ歯類をはじめ、サル、ウサギなどウイルスを保有する動物との接触によりヒトに感染する。
・ サル痘はヒトからヒトに感染することがあり、主に接触感染、飛沫感染をするとされている。なお、理論的には空気感染も起こす可能性が指摘されているが実際に空気感染を起こした事例は確認されていない。

厚生労働省、各都道府県へ情報提供の要請(5月20日)

日本では、4類感染症に位置づけ、サル痘の患者を診断した医師は、都道府県知事等に対して直ちに届け出ることを義務づけています。
これまで日本でヒトのサル痘の発生事例は報告されていませんが、今回のヒトの感染事例では、アフリカ大陸以外の複数の国で、渡航歴のない感染者が発生しており、市中感染の発生が示唆されることから、注意喚起がなされています。

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