睡眠があなたの寿命を決定する

睡眠があなたの寿命を決定する

睡眠中に細胞、筋肉の修復、記憶の定着が行われるので、睡眠時間が短いと、身体が常時、緊張状態(血管が収縮し心拍数が増加、血圧が上がる)となり、高血圧、脳卒中、心筋梗塞、うつ病、糖尿病などの発症の危険性が高まります。食欲増進のホルモンが活発になって空腹を感じ、肥満につながることもあります。また免疫力も低下し、感染症リスクも増大します。日本は、先進国の中で睡眠不足が最も深刻な国です。

睡眠不足で身体はボロボロに!

<桜の花出版『眠るだけで病気は治る!』はじめに>より

 健康には、バランスの良い食事、適度な運動、そして睡眠が大切と常々いわれています。しかし、頭ではわかっていても、幼いころからつちかわれてきた生活習慣を改善するのは、並大抵のことではありません。

休息や充分な睡眠をとるのに罪悪感は必要ない

 また、「食事」や「運動」と違い、「睡眠」に対しては、日本人の特別な感情があります。睡眠時間をけずってでも何かに熱中する人、短い睡眠時間でバリバリ働く人を尊敬します。たしかに3時間睡眠で一見誰よりも元気に働いているかのような人を見ると、睡眠は罪悪にすら思えてきます。睡眠にまわす時間でもっと仕事やほかのことができるのにと自分を責めたりもします。また、短い睡眠の人自身も、短時間睡眠で元気でいることで自分が立派な人間に思えてきます。
 特に、明治大正や昭和生まれの人たちには、睡眠は、「惰眠」「怠惰」といった言葉を連想させ、休息をとる、睡眠時間をたっぷりとることに罪悪感を覚えてしまいます。たしかに日本人は睡眠時間をけずってがんばった時期があったからこそ、戦後の厳しい時代を乗りきり、世界でまれにみる高度成長を可能としたのです。
 しかし、人々の生活パターンは多様化し、AI(コンピューター)の発達により体全体は動かさず目や脳ばかりを使う作業が増え、求められる情報処理(対応)もスピードを増しています。情報が増えれば、他者と自分とを比較する機会も自然と増し、人々はストレスでへとへとです。
 正直なところ、好きなだけ眠りたいと思っても時間が許しません。連日遅くまで働きづめで久しぶりの休日はゆっくり寝ていたいのに、布団のそばまで妻の掃除機が迫ってきます。今日は時間にしばられずに寝ていたいと思っている妻も、「お母さん!ご飯は?」の一言で起こされ、毎日次々とやるべきことが満載の主婦には休日はありません。一人一人がそれぞれの環境の中で時間に追われた疲れた生活を送っている現状では、充分な睡眠をとることなど許されなくなってしまいました。もはや日本人は病気になるために生きていると言っても過言ではありません。

睡眠不足が万病の元だった!

 ところが、最近の研究で、充分な睡眠をとることができれば免疫力が高まり、病気にかかりにくくなることがわかってきました。そもそも健全な生き方をしていれば、大病になどかからないとは昔から言われてきたことです。長寿者の多くに大病をしたことはないとか、風邪にもかからないといった人たちがいることは、まさにそのことを証明しているといえるでしょう。百歳になっても畑仕事をやっている老人を見ると本当に驚かされます。ストレスをかかえず毎晩たっぷり睡眠をとっている人たちは、本来の正常な免疫力が働き、病気にかかりにくい体になることがわかってきました。
 海外でも日本でも複数の研究グループが、おおよそ7時間から8時間、最低7時間の睡眠をとることによって、心身の状態が改善したことを報告しています。睡眠には個人差があり、肉体や脳を激しく酷使する人は10時間以上を必要とするケースも珍しくありません。睡眠については奥が深く、今でもまだ完全に解明されていないことも多いのですが、最近の研究結果から、慢性的な睡眠不足(睡眠負債)が、人生に決定的なマイナス要因となることがわかってきたのです。

睡眠時間が人生を決定する

 「眠るだけで病気が治るのなら誰も病気になんかならないよ」と怒られる方もいらっしゃるでしょう。しかし、考えてみてください。病気というのは、全身的な諸々のバランスが崩れて発生するものです。個人によってさまざまに条件が異なります。しかし、すべての人に共通することは、何かの“無理”が身体にかかっているときに病気は発生するということです。それは広い意味でのストレスです。肉体的精神的な内面からのものもあれば、ウイルスや毒などの外側からの原因もあります。
 ところが、その内外の攻撃からその身を守り、元気でいられる人たちがいます。その人たちは一様に日頃から疲れを翌日まで持ち越さないようにしています。朝の目覚めがすっきりしていて、病気になりやすい人たちと比べたときに疲労感がないのです。
 その人たちは、質の良いたっぷりの睡眠で、前日の疲れを取り除いていたのです。充実した睡眠は、万病にかからないための最高の秘訣だったのです。
 しかし、その前に、〈充実した睡眠〉をいかにすれば自分のものにできるのかが重要になります。
 そこで、あえて、本書に『眠るだけで病気は治る!』という題名をつけました。「睡眠不足は良くない」とわかっていても、これまで生活パターンを変えられずにいた多くの方に、睡眠の重要性を再認識していただきたかったからです。今日からぜひ生活スタイルを変えてゆきましょう。
 慢性的な睡眠不足が、頭脳活動の低下、湿疹、シミ、しわなどの肌の老化から、癌、認知症、糖尿病、心筋・脳梗塞、うつ病など命にかかわる病気のリスクを高め、日々の生活の質を下げていることが明らかになってきました。
 ほとんどの人が、自分が危険レベルの睡眠不足(負債)であることにまったく気づいていません。豊かな人生を歩もうとして、睡眠時間をけずってがんばっていることが、実は逆に、豊かな人生から自分を遠ざけていたのです。
 この本では、
 睡眠不足 → 理解力の低下や仕事のミス・病気・人間関係のトラブル → それを補うための対策 → 睡眠不足
 といった悪循環に入らないように、1日7時間睡眠をめざすことを紹介しています。と言っても、人によってはそれ以上必要な場合もありますから、この時間はあくまで目安にすぎません。本書は、どこからでも読めますから、好きなところから読んで、今晩から実行してみてください。
 就寝時刻を1時間早くしたり、退社時刻を定時にするなど、ぜひ何か一つでも生活パターンを変えてみましょう。そして、本書を時々見返してください。そして睡眠の大切さを何度でも確認してください。
 さあ、たっぷりの良質な睡眠で少しずつ健康を取り戻し、自由で有意義な人生を歩みましょう!!

睡眠不足による国全体の損失はOECD5カ国の中で最大

 日本は、先進諸国の中でも、睡眠不足(負債)が最も深刻な国です。前述のような真面目でがんばる国民性が「寝ないでがんばった」「徹夜した」という努力を称賛とともに肯定的にとらえてきたからです。現在、慢性的睡眠不足からくる経済的損失が推定で国内総生産の約3%に相当するという事態になり、国もついに改善に乗り出し始めました。

詳しくは、桜の花出版『眠るだけで病気は治る!』をご参照ください。

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