東洋医学で未病予防ー正月の養生は腎を養い、胃腸を休めよう

正月の養生は腎を養い、胃腸を休めよう

「未病」は、養生にはじまり、養生に終わると言います。養生は辞典では「体を大切にして、健康の増進をはかること」とあります。
折角の年の始め、気持ち新たに、日常生活を見直して、ひとつでも養生を心がけましょう。年始は、ご馳走を頂く機会が多く、また運動不足にもなりやすいので、少し気をつけるだけでも、体は喜び、応えてくれることでしょう。

お屠蘇は薬用植物を調合して無病長寿を祈る祝い酒

お正月のお屠蘇(とそ)とは屠蘇延命散の略です。山椒(さんしょう)、桔梗(ききょう)、防風(ぼうふう)、乾妾(かんきょう)などの薬用植物を調合し、酒・みりんに浸したもので、無病長寿を祈る祝い酒ですが、これは「未病」の考えに基づいています。最近は、お屠蘇でお正月を祝う家が減っていますが、是非、未病を祈り、お屠蘇でお祝いして頂きたいものです。

腎を養うー正月は陽に切り替わる直前の「極陰の月」

陰陽でいうと正月は陽に切り替わる直前の、極陰の月となります。気温では2月が最も冷えることが多いですが、暦では2月は既に春で、体も春へと切り替わっています。春へ切り替わる直前の極陰の時期は、特に下半身を冷やさないようにしましょう。それは陰の臓である腎を養い守るためです。
足もとが冷えると、冷えた血液が内臓に戻り内臓も冷やすことになります。腎は特に冷えに弱い臓器です。一般に「かんじんかなめ」は「肝心要」と書きますが、正しくは「肝腎要」。内臓の中でも、先天(持って生まれた生命力)の腎と後天(生後、食物などから得る生命力)の脾が元気であれば、先天・後天共に充実し健康・長寿となります。腎と脾は、ともに冷えに弱い臓ですので、冷やさないことが肝腎です。腎を守るのは黒い色の食べ物。豆や胡麻でも黒豆、黒胡麻が腎に効きます。クコの実、クルミ、山芋も良いです。
もし、冷えてしまった時には、塩を炒り、手ぬぐい等で包み、臍(へそ)に当てます。臍はすべての臓腑を補えるツボです。この方法は、電気毛布やこたつ等で体液を失うことなく、腎と関係が深い塩によって芯から温めることができます。

ただし、この方法は急な冷えに対するあくまで対処療法です。本来は体を動かすことで保温をするのが一番良いです。常に何かで温めると体は温めることを「しなくて良い」と思ってしまいます。

七草がゆで胃腸を休める

正月七日の「七草がゆ」は、無事を感謝し、無病息災つまり未病を願うものですが、胃腸の働きを整えたり、ビタミンが豊富な旬の野菜を摂ることができます。
胃腸を休めるためには、良く噛むことが一番です。また、元々冷え性の人は、甘いものの他に、牛乳、ヨーグルトも避けた方が良いです。さらに冷え性で、口の中が粘ったり苦く感じる人は、味の濃い物、脂っこい物、餅米の製品は避けましょう。以上のことで体が重だるくなったり、ひどい肩こりや締め付けられる頭痛、膝の痛みや腫れを防ぐことができます。

体質は養生によって変えることができる

運動をせず、こたつに入っておかきなどを食べる…といった生活を続けていると、膝痛などに悩まされる体質になるので、用心が必要です。体質は持って生まれたものもありますが、日常生活で生み出されていることも多く、養生によって体質も変えることができます。

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