東洋医学で未病予防ー春の鬱の解消法、花粉症とその予防

春に鬱が多くなるのは…

立春から春分の間の、その年初めての強い南風が「春一番」です。風が吹いてくると涙が出るという方はいませんか?春は、五臓では「肝」、五行では「木(もく)」にあたり、五気では「風」、五液では「涙」が配当されています。風が吹くと涙が出るのは、肝の弱りを意味します。
肝の働きを助ける食べ物は、白ごま、くこの実、よもぎ、せり、ハッカ、黒きくらげ、酢などです。いずれも食べ過ぎると胃腸に負担を掛けるので、3月には少量づつ摂ると良いでしょう。
春は樹木が伸び、植物が発芽します。人間も肝の働きが活発となり、老廃物を排泄し、気の巡りが良くなる時期ですが、ストレスなどが原因で、体が動こうとするリズムに合わないと、肝の活発な働きを妨げ、鬱になりやすくなります。春に鬱が多くなるのは、こうした理由によります。春の鬱の初期であれば、既述の食物はもちろんですが、中でも、よもぎの炒め物を摂るのが良いです。よもぎの持つ気を巡らせる力によって血液循環が改善され、鬱の改善に効きます。やる気がしないとか、疲れが取れないと感じた時には、それを初期の鬱とみなして、早い段階で解消しておきましょう。運動などの発散系のストレス解消法もお勧めです。

春は、五臓では「肝」、五行では「木(もく)」にあたる

花粉症の根本的な原因は胃腸の弱り

風に運ばれてくる花粉でお悩みの方も多いと思います。東洋医学では、花粉症の根本的な原因を胃腸の弱りと捉えることが多いです(他の原因のこともあります)。胃の経絡が鼻を通っているので、胃腸の弱りが胃の経絡に波及し、花粉症の症状が出ます。驚くべきことに、夏場の水の摂りすぎによる胃腸の弱りのために、翌年の春に花粉症が出るとされます。
夏はとうに過ぎているのに今さらそんなことを…と思う方も、せめて気づいた時から水分を控え、甘い物、生もの(果物、生野菜)、牛乳、ヨーグルトを控えましょう。これらの食品の摂り過ぎは胃腸を弱らせます。多少なりとも症状の出方に差が出ると思われます。
鍼灸治療では、花粉症の治療は風邪の治療に通じます。治療を10日ほど毎日続けると、高い割合で即効性が期待できます。その応用から、皮膚を鍛えることも、花粉症の予防や症状の改善に働きます。特に首の後ろ側と腕の親指に通じるライン(肺経)をごく軽い乾布摩擦や柔らかいマッサージで鍛えましょう。この場合は、強く摩擦し皮膚を傷めると逆効果になりますので優しく行ないましょう。
まだ花粉症になっていない方は、夏には冷たい水分の飲み過ぎやアイスクリーム、シャーベット、ジュースの摂り過ぎに注意しましょう。これだけでも、次の年に発症するはずの人が、発症を先延ばし出来る可能性が高くなります。

 

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