脊髄損傷で半身不随になった男性がインプラントで歩けるように

2017年にバイク事故で背骨を完全に切断してから5年、イタリア出身のミケル・ロカッティ氏はタブレット操作のデバイスの助けを借りて、歩いたり、自転車に乗ったり、階段を上ったりできるようになった。

現在30歳のロカッティ氏は、手足を動かすために改良された脊椎インプラントの試作品をテストした男性の一人。スイスのローザンヌにある研究者たちがこの装置を開発し、テストを行った。彼らは、現在進行中の臨床試験の結果を、2022年2月7日発行の『Nature Medicine』誌に発表した。

研究者がNBCに語ったところによれば、このインプラントを装着した3人全員が、術後数時間で立ち上がり、脚を動かすことができたという。全身を支えるのではなく、歩行器を使うようになるまでには数日かかったが、研究室での数カ月の治療と練習により、実生活でもある程度の可動性を取り戻すことができたという。

この装置は脊髄損傷を治療するものではないが、この装置によって9人の脊髄損傷者が再び歩けるようになったと神経科学者で装置の共同開発者であるグレゴワール・コーティーヌ教授はBBCに語っている。

ロカッティ氏にとって、この成功は前代未聞のことだった。脊髄を完全に切断した人で自由に歩けるようになった人はいない。彼は今、この装置を使って日常的に筋肉を動かすことができる。

「私は立ち上がり、歩きたいところを歩き、階段も歩ける。ほとんど普通の生活だ」とロカッティ氏はBBCに語った。

ロッカティはBBCの取材に対し、事故前はボクシングやランニング、フィットネストレーニングをよく行っており、アクティブな生活を送っていたと語った。ローザンヌ大学病院のJocelyne Bloch教授は、「この技術を使って進歩し、より良くなっていくことができる」と語っている。

この技術に関する2019年のNature Newsの特集によると、医師は1960年代から慢性的な痛みの治療に脊髄刺激を使用してきました。研究者たちは、少し遅れて、脊髄損傷後の運動機能を回復させるための同様の治療法を検討し始めたのです。

装置自体は、脊髄神経と椎骨の間に柔らかい平らな電極を配置するものだ。ローザンヌの研究者たちは、慢性的な痛みに関連する神経をターゲットにする代わりに、背骨の動きを制御する部位に電気信号を送るよう技術を改良した。

ユーザーは、タブレットやスマートフォンを使って、一歩を踏み出すときや泳ぐときに足を蹴るときなど、要求された動作に対して特定の電気信号を送るソフトウェアを使って、自分の動作をコントロールすることができるという

Business Insider より抄訳

関連記事

ページ上部へ戻る