- 2022-3-21
- 東洋医学
東洋医学では、感情や精神状態が臓腑に影響を与えるとして、主に7つの感情を病因として考えています。西洋医学で例えば高血圧への処方で、いら立っている、不安が大きい、これらのことが血圧が上がる要因と考えた場合、降圧薬の補助の薬として抗不安薬が処方されることはありますが、メインの病因とは考えません。しかし、東洋医学では、過度の感情を特定の臓器と関連付けて考えます。東洋医学独特のものです。
七情と五臓の関係は
七情とは
七情は、喜・怒・思・憂・悲・恐・驚の七種類の感情です。それ自体が悪いだけではなく、強烈であったり長時間に及ぶなど、バランスを崩した場合に病因となると考えます。
七情の五臓との関係は、
喜は心に属す。
怒は肝に属す。
思は脾に属す。
悲・憂は肺に属す。
驚・恐は腎に属す。 ※「属す」とは、関係が深い、影響するといった意味です。
感情が行き過ぎた場合…
喜び過ぎると心を傷(やぶ)る。
怒り過ぎると肝を傷(やぶ)る。
思い過ぎると脾を傷(やぶ)る。
悲しみ憂い過ぎると肺を傷(やぶ)る。
驚き恐れ過ぎると腎を傷(やぶ)る。
※「傷(やぶ)る」とは傷つける、つまり悪影響があるという意味です。
具体例を上げると、
「喜」喜び過ぎると、心気がゆるみ過ぎて、神を蔵する作用が乱れる。精神が集中できなくなり、不眠などを引き起こす。
「怒」怒り過ぎると、肝気の昇発作用が過度になり、血をともなって頭部に急激に上昇して突然倒れて意識不明となる。興奮し過ぎて脳卒中を起こすような場合です。
「思」思慮による精神疲労が過度になると、脾気の作用に影響し、食欲不振、健忘、不眠などが起こります。
「悲」悲しみ過ぎると肺気を消耗し、意気が消沈し呼吸が浅くなったり、咳が出たりします。
「恐」腎気の固摂作用が失調し、大小便の失禁などをもたらします。
東洋医学の体系は西洋医学と違うため、用語が難しいのですが、
症状を見ていくと、過度の感情により現われる症状は、実際に思い当たるものばかりです。
体が悲鳴を上げる前にリフレッシュしよう
陥っていると、自分で自分の気持ちがわからないことがありますが、症状から自分の過度の気持ちに気が付き、変えていこうとすることで、少しずつ症状が和らいでいきます。
日本漢方と中医学とは少し体系が異なりますが、西洋医学との対比として、ここでは東洋医学と表現してあります。
参照文献:関口 善太 『やさしい中医学入門』東洋学術出版社 1998、P.140~143 (ISBN-13 978-4924954373)