世界初「血液型不適合の生体肺移植」10代女性の手術成功ー京都大 伊達洋至 教授

京都大医学部附属病院は4月12日、10代の女性患者に対し、血液型が適合していない両親からそれぞれ肺の一部を移植する手術を実施したと発表しました。血液型が不適合の生体移植手術は、これまで肝臓や腎臓では実施されていましたが、肺については世界で初めてです。患者は11日に退院し、経過は良好とのことです。

B型の父、O型の母から、O型の娘へ

40歳代の父 B型、母 O型から、それぞれの肺の一部が10代の女性に移植されました。

京都大学発表プレスリリースより 

Bリンパ球を破壊するリツキシマブを投与

血液型不適合条件下での移植手術は、患者さんの体内で起こる抗体反応によって、移植臓器が拒絶されたり機能不全におちいったりする可能性があります。今回は、Bリンパ球を破壊するリツキシマブの投与され、血漿交換などの前処置が行なわれたそうです。この術例の成功は、これまで血液型不適合によって生体肺移植を断念せざるを得なかった患者さんおよびご家族にとって朗報となるとのことです。リツキシマブは、慢性リンパ性白血病、難治性のネフローゼ症候群などや、腎移植、肝移植にも使われてきた薬剤です。

京大呼吸器外科 肺移植の実績は日本一

執刀医は、同院呼吸器外科の伊達洋至 教授と主治医の中島大輔 講師で、心臓血管外科、麻酔科、手術部、臨床工学技士など約30名のスタッフが協力して手術を実施しました。同呼吸器外科では、これまでも肺移植の実績は日本一で、スタッフの総合力があってこそ、今回の世界初の症例への挑戦も可能となったのでしょう。

活躍は、『第一の肺癌治療 ─ 早期発見・チーム医療・ロボット手術・肺移植・話題の新薬まで』https://www.sakuranohana.jp/books/9784434225109/ でも紹介されています。

参照文献:京都大学プレスリリース「医学部附属病院においてABO血液型不適合条件下での生体肺移植を行いました」https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news/2022-04-12 (最終アクセス2022年4月14日)

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